ライブレポート:1998.06.11 Sense Of Wonder

Part 1/author:KEN

う〜ん。何から書きはじめたら良いのかな。とにかく堪能しました。楽しみました。たっぷりとセンス・オブ・ワンダーの曲を聴く事ができました。

松本さんは高校生の頃にELPのコピーバンドをしていたとのこと。しっかりとプログレしていました。ベースをちょこっと構えた姿勢が格好良い人でした。SOWとして初めてのライブとは思えないぐらいSOWに馴染んで演奏していました。MCも最高に面白かったです。難しい曲にも、からだ全体でノッていて、見ていてとても楽しくなりました。

そうるさんは始終楽しそうに太鼓をたたいていました。SOWのライブがあると思うと遠足の前みたいに眠られなかったとか。お客さんも同じ気持ちでしたよ! 気合の入った複雑な超絶の太鼓を、とにかく笑顔でバカバカ叩きまくるのがとっても凄かったです。演奏者が楽しんでいる姿は、見ていてとても幸せな気持ちになりました。

難波さんはキーボードをコの字にセットして格好良いフレーズを弾きまくっていました。聴いただけではシーケンサーのようなフレーズを手弾きしたり、叙情的なエレピ・フレーズもたっぷりあり、これがプログレです。キーボード・バンドです。ボーカルは、、、、途中で歌詞を忘れていました(笑)。

難波さんはコの字にキーボードセットを組んで、アナログシンセを沢山使っていました。アナログシンセを維持するのは結構大変なんだそうです。そうるさんのセットも大きくて、あいだに挟まれた松本さんがちょっと窮屈そうでした。楽しそうにステップを踏んでいるのに、動く場所がありませんでした。

演奏曲目はMAKOさんがリストを作ってくれました。しかし、7月に渋谷で見る人達のために楽しみは残しておいた方が良いかもしれません。とにかく、SOWの曲をたっぷりと演奏して、僕はライブを堪能しました。感動して呆然としました。7月のSOWに行く予定の人は期待して良いですよ! もし、まだ迷っているならばぜひお薦めします。(演奏曲目が知りたい人にはメールを頂けたらお教えします。しかし、知らない方がきっと楽しめると思います。)

ラグのホームページに難波弘之氏の事前のコメントが載っています。リンクのコーナーからたどって下さい。

余談ですが、

僕が判った範囲での遠来のお客さんは、広島から来た人が3人、横浜から一人、栃木から二人、新潟から一人来ていました。皆さん堪能したでしょうか? 他にも遠来のお客さんがいたようでしたら教えて下さい。

広島から来た某氏は、お昼過ぎになって急に見に来たくなったそうです。手持ちのお金が無かったので、無人くんでお金を借りて新幹線に飛び乗りやってきたとか、、、。夜行バスで広島へ帰って行きました。お疲れ様でした。

[by KEN]

Part 2/author:Dobi

 もうすぐ午後六時になろうかという頃。
 
 ライブハウスのあるビルのエレベータを降りた私たちを迎えたのは、開場待ちをし
ている人たちであった。階段を、その人たちに沿って一階分降りる。リハーサルが遅
れているのだろうか、時折音がもれ聞こえてくる。たわいない会話を交わし、知って
いる人はいないかと見渡したとき、意味を持たなかった音がひとかたまりになって曲
となった。
 
「あ、この曲」
 
 懐かしい曲。だから曲名を思い出すのにやや時間がかかる。でも、好きな曲に変わ
りはなかった。それを今聴いている。もう少しすれば、ライブで聴くことができる。
そう、あと少し。
 
 期待に、わくわくどきどきしてくる。昨夜はよく眠れなかった。まるで遠足に行く
日の子供のように、今夜のことを夢に見て浅い眠りだった。しばらくは忘れていたそ
のわくわくが再び戻ってきている。ここにいることがこんなにも嬉しい。
 
 この前のライブから、何年たっただろう。最後のライブは東京で、とても聴きに行
けなかった。だから飢えているのだ、彼らの曲と音に。ずいぶんとこのときを待って
きた。
 
 ふと音が途切れ、少ししてまた次の曲が聞こえてくると期待がじんわりと体中に広
がり、嬉しさと曲の懐かしさも手伝って思わず手を壁に叩きつけ、じたばたしたくな
ってくる。
 
 次から次へと聞こえてくる曲たちは、至福の時間を約束するに十分なものだった。
 
 やがてリハーサルも終わり、店員が出てきて開場となった。ふと気づくと40分以
上たっていた。みないい位置を確保すべく、急いで席に向かっていく。私たちも無
論、その中の一人だった。
 
 幸いにも真中の前をGET。カクテルと料理を注文する間にも、なんだか落ち着か
ない。たぶん、それはみな同じ思いなのだろう。いくぶん興奮したようなざわめきが
 
店内を支配していた。
 
 リハーサルが遅れたせいもあるのだろう、開演時間も10分程度遅れた。
 
 薄暗い店内の照明がさらに落とされ、始まりを告げる。打ち込みのリズムが響くな
か、椅子の中で姿勢を変え、後ろを見やる。客席の間をとおってメンバーが現れ、ス
テージに上がった。
 
 難波さんがキーボードに囲まれた定位置につくと、ボソッとリズムにあわせて「西
中島南方、西中島南方」とつぶやいた。どっと客席が沸く中、ドラムのそうる透さん
が一瞬遅れて吹き出し、でもすぐに真顔になった。
 
 そして。
 
 怒涛の、至福の時間がはじまる……。
 
 
 
 終わった。
 
 長くて、短かった。
 
 アンコールを終えた店内は明るさを取り戻していた。終電に間に合わせるべく、レ
ジに行列ができる。仕事で来られないと言っていた友人もいつのまにか来ていて、短
い言葉を交わすと、その行列に並んだ。途中からだったと言っていたけれど、かなり
満足そうだった。
 
 ホテル泊りで急ぐ必要のない私たちはそのままテーブルに居残り、ライブの余韻に
浸っていた。酔いが回ったようだ。カクテルのものよりも、S.O.Wの音に酔って
しまったようだ。
 
 それでもアンケートに記入していく。感想なんて書けそうで書けないのに。もう、
なんと書いていいのかわからない。
 
 充実した、幸せな時間だった。誰もがみんな、今までの、今日の日までの長い時を
埋め合わせるかのように、そのあいだの飢えを満たさんばかりに真剣に、でも楽しそ
うに聴いていたようだ。
 
 曲目の懐かしい、彼らにとって定番ともいえる曲もあれば、まだアルバムに入って
いない新しい曲もあり、そのどれをも十分に楽しむことができた。
 
 難波さんのいつものようにコの字型に組んだキーボードに埋もれて、何台ものキー
ボードを弾きまくっていた。途中で歌詞を忘れていたけれど、これはご愛嬌だろう。
ちゃんとフォローもしていたし。
 
 そうるさんもたくさんのドラムの中にいた。途中でスティックが折れたりするハプ
ニングもあったけれど、ドラムソロは圧巻だったし、楽しく飽きなかった。ときおり
遅れて吹き出すのは、なぜなのだろう。でも、興奮して夜眠れず、難波さんに電話し
たそうだ。それを聞いて、同じだと思った人はどれだけいただろう。みんなが、私た
ちもメンバーもこの日を楽しみに、心待ちにしていたのだろう。
 
 そして、新加入のベースの松本さん。この三人の組み合わせは初めてのはずなの
に、奇妙に違和感がなかった。三人の音がしっくりと溶け合っていて、とても心地よ
かった。松本さんも最初は緊張していたようだけど、次第に楽しそうになっていくの
がわかった。ちなみに緊張した理由のひとつに、田辺モットさんが後ろで睨みを利か
せていたからだともいう。MCでもいろいろしゃべってくれて、「こんなにしゃべっ
たのは初めてだ」とか、「音を大きくしろと言われて驚いた」とも語ってくれた。楽
しい人だな、と思う。
 
 正直に言うと、私は「あの音はベースだったのか」とはじめて知ったフレーズがた
くさんあった。今までは難波さんしか見ていなかったのがばれてしまいそうだ。今回
はベースの前だったので、なんとなく三人を均等に見ていて気づいたのだった。実に
不明なことだ。
 
 それと、気づいたことがもうひとつある。音楽的な詳しいことはわからないけれ
ど、結局私はS.O.Wとその曲たちが好きだということ。だから、今回はとても嬉
しかった。S.O.Wをたっぷりと聴くことができたのだから。
 
 やがてひとつのテーブルにホームページの仲間が集まって、話をはじめる。みんな
興奮していて、饒舌だった。でも、最後には「良かった」の一言で終わってしまう。
それぞれに感じること、思うことは違っても、みんなこの夜を楽しみにし、そして満
足したのだった。
 
 そうして、次の算段がはじまる。「7月の東京、どうする?」と。満足したはずな
のに、でもまだ足りなくて次を求めてしまう。それほどに私たちは彼らの音に飢えて
いたのだと知れる。もっともっと聴きたくなる。それが欲で、人なのだろう。
 
 いろいろと話して次の日になってしまった頃、私たちは店を出ることにした。6月
にしては冷たい夜気がほてった体を冷やす。余韻に浸ったまま、感想を話しながら歩
く。
 
 こんな幸福な一夜をくれたSense Of Wonderに感謝して。