ライブレポート:1991/05/03 難波弘之&フレンズ @京都RAG

【1991年5月  京都RAGの想い出】

1991年3月に 渋谷Egg-man でプログレカバーライブがありました。その時に出演した難波さんから‘5月2,3日に京都でSOWがライブをやります’と予告がありました。活動停止した SOWが観られるなら、と遠征を決意、銀座の「ぴあ」の売場にあった関西版で場所を確認、祝日の5月3日のチケットを購入しました。あとからわかったので すが、会場の予定表やチケット上では、5月2日は難波+根岸+小森の3人+大谷レイブンで‘センス・オブ・ワンダー’名義、3日はその4人にVOWWOW のヴォーカリストだった人見元基が加えての‘難波弘之&フレンズ’名義でした。2日の方はプログレの名曲を演奏する内容だったそうです。渋谷Egg- man でも大谷さんが入っていたので、同じようなセットだったのだろうと思います。

さて5月3日当日、新幹線で京都駅を降り、RAGまで行く方法がなかなかわからず苦労しました。京都市内の足はバスが頼りで、これは東京・大阪の 地下鉄などと違って時刻表に路線が載っておらず、知らない者には困りものです。木屋町(京都にはむかしを伝える町名がよく残っていますね)のRAGにたど りついたのは開場30分前でした。すでに階段に長い列があり、ぴあで買った私は優先入場のずーっと後の扱いで入り、すでに立錐の余地のない会場の、なんと か難波さんの見える場所に立位置を確保しました。

1曲めがSOWの3人による「オーニソプター」、2曲めが大谷さんを入れて「レイブン・アイズ」とここまでは定番でしたが、その後は5人になり人 見さんの選曲(?)らしきハードで骨太のブリティッシュロックのオンパレードでした。その中でジャズを2曲、曲名不詳のバラードとガーシュインの「サマー タイム」を演奏したのが印象に残りました。ロックなメンバーによるスローテンポの演奏、人見さんの絞り出すようなヴォーカル、そう、ジャニス・ジョプリン のテイクを彷彿させる名演奏でした。メンバーもそれを意識してか、大谷さんがサイケなテケテケフレーズを、難波さんもメロトロンの音色で短い音を(メロト ロンはテープの持続時間が短いから一つの音を伸ばせないのです)飛び交うように入れ、アートロックふうに盛り上がりました。

アンコールは‘世界に誇るロックンロール・ナンバー’との人見さんの紹介でなんとひみつのアッコちゃんのエンディングテーマ「すきすきロックンロール」でした。その後にまたハードなナンバーがあり、2時間半ほどのライブは10時半頃に終わりました。

今年(1998年)5月の‘ウラ・センスオブワンダー’もそうだったようですが、難波さんは、はっきり名前のついたプロジェクトを除き、自身を中 心としたメンバーであれば‘センスオブワンダー’と言ってしまう鷹揚さがあるのかも知れません。私としてはセンスオブワンダーの曲を期待して行ったので肩すかしを喰らいましたが、難波さんのジャズピアノもたっぷり聴けたし、当時隠棲状態だった人見さんを手を伸ばせば届きそうな距離で見られたし、その後兵庫 県の実家で泊まるつもりが電車がなくなり大阪の終夜喫茶で夜明かしなんていう経験もできて、振り返ればなかなかいい想い出でした。でも、RAGのややこし い優先入場と東海道線に接続しない京阪電車の路線はなんとかして欲しかったな。